第44回鎌倉彫創作展 入賞作品

「鎌倉彫を飾る」第44回鎌倉彫創作展結果発表


〔 審 査 講 評 〕

〔  審 査 員  〕                                                     

 内藤 浩之  (鎌倉国宝館副館長)

倉田 俊一    (木工家)         

松島 さくら子   (宇都宮大学教授)

     

 《 総 評 》

11月22日(火)鎌倉彫工芸館にて、第44回鎌倉彫創作展の応募作品審査を、上記審査員3名により行いました。

今年度は一般部門23点・課題部門26点の応募がありました。

一般部門はパネル作品、大型器から靴べらまで、様々な形態の作品が揃いました。どれも伝統的な鎌倉彫の彫り技術を駆使しながらも、独自のデザインや思いを込めた作品でした。課題部門では「鎌倉彫を飾る」をテーマに、装飾器やオブジェや壁面作品など、自由な創作作品の展開が多数見られました。

一般部門・課題部門とも作者の刀の勢いや、漆塗りの表情が感じられる作品ばかりで、審査に難渋いたしました。

(内藤)来年度もぜひ新しい風が吹くことを期待したいです。

(松島)来年の創作展にもぜひ新しいモチーフやデザインや用途の作品に挑戦していただけると、より鎌倉彫の魅力を発信できるのではないかと期待しております。

 


  創作大賞    「芥子文八角飾箱」 奴田 伸宏  作   

(審査講評)

黒を基調とした重厚な作りで、側面には芥子が細かな彫で表現されており、その上に銀色の錫粉が蒔かれており、黒い彫部分と明るい銀色の凸の部分により、芥子の花があたかも揺れているような動きや奥行が感じられます。天板には乾漆粉が蒔かれておりマットな黒の他にほのかに赤みがかった太陽が表現されています。全体のモチーフ構成ときめ細かな彫りと錫や漆の使い方も絶妙で大賞にふさわしい秀作です。


神奈川県知事賞  「古瓦紋高杯」  小園  博  作

(審査講評)

古瓦紋を中心に三重の花弁が深く力強い彫りにて表現されています。大振りなつくりに豪快な花輪、深い彫りが花弁を浮き立たせて重厚感と立体感がでており、堂々たる作品に仕上がっています。


鎌倉市長賞    「飾箱」  坂本 豊  作

(審査講評)

三重の器です。蓋はうねる波のようにも雲の流れのようにも見え、裏側からもしっかりと彫りこんであり、動きが感じられます。中は薄く軽く彫った輪花皿、下部はぼかし塗りを施した皿になっており、重ねるとシンプルながら、三枚広げるとそれぞれ個性的な逸品です。


課題部門優秀賞    「片口」  佐々木 幸夫  作

(審査講評)

自然木を利用し美しく可愛らしい作品に仕上がっています。7点それぞれ微妙に形状が異なり小ぶりにまとめながらリズミカルに仕上がっています。朱・黒・深緑の漆の微妙な色合いも表情の幅をきかせています。鑑賞としても酒器として使用しても楽しめる作品です。


鎌倉商工会議所会頭賞    「菊花の祝」  森本 美保子  作

(審査講評)

深く細かな彫りを施し立体的な菊花が表現されています。渋い色漆で丁寧に彩色されています。ブローチや髪飾りなどにすることで、素材感や彫りの感触も楽しめる作品です。


鎌倉市観光協会会長賞    「鳳冠」  畠山  純一  作

(審査講評)

厚みのある唐草の銀色(錫)にベンガラをかけ、黒漆のパーツと組み合わせることにより、優美であり立体的な作品に仕上がっています。



大樹賞

波」   松永 匠一  作

大樹賞

「桜花文蓋物」  青山 常昭  作




漆 賞

「朱肉入れ」   小澤 宗明  作

漆 賞

「アレンジを楽しむ」  伊志良逸子  作



 

アンケート賞

「紅葉」  大石  陸平  作

 

(アンケート賞は一般の方のアンケートを基に選ばれた作品です)


※アンケートにお答えていただいた方の中から抽選で、50名の皆様に御礼品を進呈致しました。

ご協力ありがとうございました。


鎌倉彫工芸館